タイトルは常に漢字二文字にこだわっただけの日記。  *広告目的のコメントはwho54211の判断により消去・ブロックさせていただきますのであしからず*


by who54211

終末

急遽うちの雇用主さん、州都ビクトリアへお出かけ。

今回は取材旅行ではなく、姪っこさんのお見舞いである。
お見舞い、というよりは最後のお別れ。
姪っ子さん、がんの末期で、ホスピスに数日前から滞在しているのだそうだ。本当は金曜日に訪問するつもりで予定を組んでいたのだが、予想よりも早く死期が近づいているようで、姪っ子さんの旦那さんから「なるべく早くに来てほしい」とお願いがあり、今日、息子さんと二人でビクトリアへ出かけていった。

姪っ子、といっても彼女とは血のつながりがないのだ。前の旦那さんの兄弟の娘さんなんだそうだが、前の旦那さんはインドネシア人で、うちの雇用主さんがスポンサーとなって移民となり、その結果姪っ子さんたちも移民することができた、という経歴とうちの雇用主さんが遠くインドネシアにいる親御さんに代わって、いろいろとお世話をしてきたという経過もあり、今なお家族同様におつきあいしているのだそうだ。

ホスピス、ワタシは実習で一度だけ訪れたことがある。
たまたま実習先がクリスチャン系の病院だったこともあり、ホスピスが設置されていて、スーパーバイザーの患者さんの一人がホスピスの患者さんだったのだ。
死期を控えた患者さんにできることはさほどない。本人の意欲と希望に沿ってのリハビリがメインで、多少関節を動かし、むくんだ手足をマッサージすることくらいだ。

ホスピス滞在期間は平均十日。どんなに長くても一ヶ月は超えない。

帰宅した雇用主さんは
「あんなにむくんで、姪が姪じゃないみたいだった...」
とショックを受けていた。

ホスピスでは、モルフィネは意識レベルを見ながら痛みに応じて与えてくれる。
モルフィネだけではなくいろいろとその他の薬も飲んでるはずだ。
しかも末期。体の機能は全般に低下している上、強い薬が入る。薬とはいえ、体に取っては毒である。当然解毒中枢である肝機能、腎機能に支障が出てきて、むくみがひどくなるのは仕方のないことだ。

とはいえ、家族となると見るのはつらいよな...。

雇用主さんに聞かれた。
「あの状態になってどれくらい保つの?」

ここまで来たら気力次第である。あきらめたらそこで意識レベルが下がり天国へ旅立つのだとワタシは思う。

姪っ子さんは「最後は自分の家で」と願っているのだそうだ。
金曜日に帰宅の予定のようだが、そこまで持つかどうかは分からない。意識レベルが下がればそのままホスピスで亡くなることもあるだろう。

ワタシは父方の叔父と叔母をがんで亡くしている。叔父のことはあまり経過を知らないのだが、叔母のことはよく覚えている。直腸から肺へ転移し、体のあちこちを切り取られ、そして最後まで告知されずに叔母は逝った。
日本のインフォームドコンセントは家族の同意が必要。叔母の家族は告知を望まなかったのだ。

ただ、叔母は知っていたと思う。

カナダでは何があろうと本人にまず情報が与えられる。そういう意味ではストレートで分かりやすくていいのかもしれない。
特にがんの末期のような病態ともなれば、心の準備だけでなく、身辺整理を含めたいろいろな準備もできるだろう。

もちろん、ショックを受けることは間違いない。それでも知らないよりは知ってるほうが自分の体のことだからいいようにワタシは思う。
職業柄、患者さんに「予後」について聞かれることはよくあったが、ワタシはそこに関しては常に「お医者さんに直接聞いてくださいね」と言っていた。障害のレベルについてもである。情報開示に対する責任がどれだけ重いか分かっていたつもりだからそうしてたのだが、考えると結構無責任だったのかもしれない。患者さんは理学療法士の目から見ての判断を単純に欲してたのかもしれなかったのだ。

まぁ、今後カナダで働くときにはもうちょっと考慮しよう。

姪っ子さん、無事に家で死期を迎えることができるよう、心からお祈りする。





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Commented by みにお。 at 2011-05-04 15:46 x
うちの弟は、脳腫瘍で手術をして、今元気にしている・・・が、
麻痺は残っていて、もちろんと言うのもおかしいけど、就職してない。
そんな弟は多分、自分の体がどうしてそんな体になったのか、
全く知らない。腫瘍は取りきれず残ってて、爆弾抱えてるもんなのに。
そんな弟を見ていると、やっぱり告知は本人にするべきじゃ
ないのかな、と思ってしまうオイラってヒドイ姉かしら?
だって、やっぱり生きる姿勢が変わって、死ぬまでに何か
やっておこう、自分で動こう、って、思ってくれたほうが
家族としても見ていて逆に安心な気がするんだよね・・。

衰える姿は見ているのが辛くても、本人が選んだ道を進んで
そうなっていくのを見届けるのであれば、家族も幸せかな。
Commented by who54211 at 2011-05-06 13:44
>みにお。さま
知る権利、って難しいよね。ワタシはやっぱりちゃんと自分のことは知りたい方だけど、知りたくないって人もいない訳じゃないだろうし...。小さい子なんかが「白血病で」って言われても理解できないかもしれないけど、戦うためには必要な情報開示だと思うのよね。
介護もそうなんだけど、ゴールが見えない戦いってのいうのは持久戦だからね〜。やっぱり本人の気力なしではなんともならないことも多いから本人やっぱり知っておくベキだと思うけどな。
弟さん、このままずっと知らないままで過ごしていくのかしら?だとしたら、惨い気もする。
by who54211 | 2011-05-04 14:21 | 人間 | Comments(2)